根管治療

正常な歯

●歯の中には神経と血管が存在し、歯の恒常性や強度を保っています。
虫歯が進行して歯の神経に到達した場合、

  1. ①神経が炎症を起こして痛みを生じたり、
  2. ②神経に細菌感染して痛みなく壊死することがあります。(例外はありますが、診査診断が重要となります。)

①と②では治療方針が変わります。

  1. ①の場合には神経を除去して痛みを除去する必要があります。
  2. ②では根管内が細菌感染により汚染されている状態であるため、感染を除去するために特殊な器具や薬剤で根管内の感染を除去します。

【神経の炎症には可逆性(一過性の炎症)と不可逆性の炎症があり、可逆性の炎症の場合や虫歯は大きいが神経に炎症がない場合には特殊な薬剤を使用することで症状の改善がみられる可能性があります。】

神経に及ぶ虫歯
根管内の清掃

●根管内を洗浄した後に根管内に詰め物(根管充填剤)と土台(コア)を入れ入れます。
【この際に、従来の治療ではメタルコア(金属製の土台)が使用されていましたが、歯牙破折のリスクから現在はレジンおよびファイバーコアでの修復が主流となっています。】

根管充填が終了している状態

●土台のままでは歯の破折に対する抵抗性が低いため、被せ物(歯冠修復)でフェルール(帯環効果)を獲得することで長期的な経過が得られます。やむを得ずにフェルールが獲得できない場合は修復物の脱離や歯牙破折のリスクが高くなります。フェルールが獲得できない場合でも歯冠長延長術(クラウンレングスニング)などの外科手術を行うことで歯を保存できる可能性があり、抜歯と比較したメリット、デメリットを患者さんに説明した上で治療方針を決定します。

土台(コア)と被せもの(クラウン)が装着されている状態