歯周病

  • 歯茎が腫れている
  • 歯ブラシの時に血が出る
  • 歯が揺れている
  • 噛むと痛い
  • 口臭が気になる

現代人が歯を失う原因の一位は歯周病です。

虫歯ばかりが歯を失う原因ではなく、
現代人が歯を失う原因の一位は歯周病です。
虫歯は歯が傷害される疾患であることに対して歯周病は歯の周りの組織(歯周組織)が傷害されます。
歯周病は肝臓疾患や膵臓疾患等と同じく
Silent Disease(静かなる病気)と言われており、
上記のチェック欄のような症状が見られた時には
既に歯周病が進行してしまっている可能性があるため、
早期の診査診断治療が必要と考えられます。

歯を失う理由、公財)8020推進財団、第2回永久歯の抜歯原因調査(2018年)

歯周病の原因

歯周組織には歯肉、歯槽骨、歯根膜、セメント質があります。歯周病は歯垢(プラーク)が歯と歯肉の間に滞留し、歯肉の炎症を引き起こすことで発症します。
プラークは微生物の塊であり、代表的な歯周病原菌である「Porphyromonas gingivalis」「Treponema denticola」「Tannerella forsythensis」や、カンジタ菌(カビ菌)などが集合したものです。
実は歯の周りのネバネバに写真のような細菌が多く存在すると知ったら気持ち悪く思う方が多いと思います。
そして歯垢(プラーク)が唾液中のカルシウム等と反応することで石灰化したものを歯石と呼び、表面のザラツキにさらに歯垢付着⇒歯石(石灰化)⇒歯垢付着・・・・が繰り返され、歯肉の炎症が長期化することで歯周病が重症化します。
歯周病の進行は人によって差があり、口腔内の細菌のバランス、歯並びの不整、生活習慣の乱れ、糖尿病、喫煙などの因子が重なると重症化しやすくなります。

歯周病1

歯周病により抜歯となった歯
根の全周に黒や茶色い歯石が付着しています

汚れを顕微鏡で見ると、、
紫のものはすべて細菌です。ほんの少しの汚れにこれだけの細菌がいます。

歯周病2

歯根を見た電子顕微鏡写真
根の表面に汚れがついているのが見えます。

電子顕微鏡写真(拡大)
根の表面には極微細な穴があり、この凹凸に細菌が付着して歯垢が形成されています。

歯周病の分類

歯周病3

歯科医師向け情報サイトWHITE CROSS(https://www.whitecross.co.jp/)より許諾を得て掲載

表のように歯を支える歯槽骨と言われる骨が炎症により減少(吸収)してしまうことで歯周病は進行します。歯肉炎や軽度歯周炎の場合には明らかな症状が見られないことが多いですが、中等度から重度では歯肉の強い腫脹、疼痛、歯の動揺、口臭が現れます。
冒頭でも述べましたが、歯周病はSilent Disease(静かなる病気)と言われるように、その問題点は症状が出現した時には既に中等度〜重度の歯周病であることが多いことが挙げられます。

また、近年では歯周病と全身疾患との関りが注目されるようになってきました。歯周病の細菌や炎症性物質は歯茎の血管から血液内に侵入し、全身をまわる菌血症といわれる状態を起こすとされており、歯周病に罹ることが心筋梗塞、脳梗塞、早産・低出生体重児などの発症と関連があると報告されています。特に糖尿病に関しては、糖尿病が歯周病の進行を促進し,一方こうして重症化した歯周病が逆に糖尿病の病態に負の影響を及ぼすとされています。
現在は様々な報告がなされており、上記疾患の要因の1つに歯周病があると考えられ、歯周病の治療で必ずしもこれらの疾患が改善するわけではありませんが、要因の1つを除外することができると考えています。

歯周病の治療方法

1. 応急処置

歯ぐきの痛み、腫れなどの急性症状に対処します。
主訴に応じて詰め物、被せ物治療を優先する事もあります。

2.歯周病検査

強い痛みがなくなった段階で歯周病の進行状態を歯周ポケット検査、レントゲン撮影、口腔内写真撮影、磨き残しの染め出しを行い検査します。

3.治療計画の立案と
カウンセリング

検査の結果をもとに患者さんそれぞれの状態に合わせた治療計画を立案し、治療方法やその必要性をご説明します。

4.歯周基本治療

まずは大元の原因である歯垢や歯石を取り除く『歯周基本治療』を行います。
これは、患者さん自身がおこなう『セルフ・ケア(ブラッシング)』と、
歯科医院でおこなう専門的な『プロフェッショナル・ケア』がセットになっています。
〇『セルフ・ケア(ブラッシング)』では歯科衛生士による清掃指導を基にご自分でのプラーク除去の方法を学んでいただきます。
〇『プロフェッショナル・ケア』の1段階目として歯周ポケットの入り口付近の歯石除去をするスケーリング、歯の表面を滑沢にするPMTC(プロフェッショナル メカニカル トゥース クリーニング)を行います。すでに深い歯周ポケットが発生している場合には、二段階目としてポケット内部に付着した歯石を除去するスケーリング・ルートプレーニングを行います。

歯周病4

5.再評価

歯周基本治療の効果を判定するため、より精密な検査を行います。
ポケットの改善がみられた場合にはメンテナンス(7)へと移行します。

6.歯周外科治療

基本治療で一部ポケットの深さが改善されず、歯周病の進行が進んでしまった部位に対して外科的にポケットの深さを減少させる手術があります。失われた歯周組織を再生させる、再生療法もこの時期に行われます。

7.メンテナンス
(SPT:サポーティブペリオドンタルセラピー)

歯周基本治療や、歯周外科治療で除去した汚れは経年的に再び付着し、歯周病の進行を惹起します。
再付着した歯石のスケーリングやPMTCを1〜3ヶ月おきに行い、歯周病の進行をできる限り予防します。

当院は歯科衛生士が担当制です。

むし歯や歯周病を予防するには、歯科衛生士によるTBI、PMTCが欠かせません。
セルフケアの質を高めるためのブラッシング指導やむし歯リスクを抑えるフッ素塗布などを定期的に受けることで口腔衛生状態が向上し、治療が必要な虫歯や歯周病を予防することができます。
当院では、1人の患者さまに1人の歯科衛生士が担当しますので、お口の中の少しの変化にも気がつきやすく、そのときの状態に応じた適切なケアを行います。

歯周病5
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歯科医師向け情報サイトWHITE CROSS(https://www.whitecross.co.jp/)より許諾を得て掲載